【鳥かごの青いひよこ】

ぼくの小学校には、いろんな鳥を飼育している大きな鳥かごがある。
天井にはとうてい届きそうもないそれは、動物園でみるオリに似た感じがある。
だから、しかも、なかなか掃除に手が行き届かず、
先生の中にもマメなタイプがいないせいか、あまり綺麗に使われていなかった。
とりあえす、餌だけはしっかりとあげている状態だった。
特に授業でも使ったことはなく、なんのために設置されたのか、よくわからない。
昔、鳥好きな先生でもいたのかな?
そんな鳥の世話や、鳥かごの清掃をすすんでやりたい人はおらず、
いつも飼育委員だけは不人気だった。
おまけに、青いひよこの七不思議のうわさ。
時折、夏になるといつのまにか鳥かごの中に青いひよこが
混じっていることがあるという。 青いひよこなんて、想像するだけで気持ちが悪い。
ぼくは、なりたかった放送委員にじゃんけんで負けて、
仕方なくだれもなりたがらない、その飼育委員をしていた。
こんなことなら、最初から給食委員に立候補しておけばよかった。
給食委員も、思いおかずを持ったりと、飼育委員の次に不人気な委員会だ。
そして、夏休みの飼育当番のとき。
ぼくはその青いひよこに遭遇してしまったのだ。
夏休み中の当番は、飼育委員だけでなく、クラス単位で家の近いもの
2人ペアとなって、掃除と餌やりをする。

当然、ぼくとのペアは幼馴染だ。
お昼ごはんを食べてから家を出たのに、寄り道をしながらなので、
学校に到着したのはすでに夕方近くだった。

なんとなく気持ちの悪い小学校。
普段は、悪ふざけをしている幼馴染も、

はやく掃除を終わらせようとそわそわしていた。 そして・・・。 水受けを掃除していた幼馴染が、ギャっと短い悲鳴のような声を上げた。
驚いてそっちをみると、なんとそこには小さな青いひよこがいた。
幼馴染は、逃げるように鳥かごから出て行ってしまった。
かわいい顔をした小さなひよこ。
明らかになにか着色料のようなもので色付けされているようだった。
ひとり鳥かごに残されたぼくも、なんだか怖くなって鳥かごを後にした。
2学期がはじまった。
青いひよこのうわさで持ちきりだった。
先生たちもどう対応してよいのか、青いひよこを処分するわけにも行かず、
そのまま鳥かごに住み着いていた。
もしかして先生は、七不思議と称される青いひよこを処分して、
悪いことが起こることも嫌だったのかな? 最初のうちは、そのめずらしい青いひよこを見に来ていた生徒も、
だんだんと興味がうすれてきたようで、鳥かごに寄り付くひともすくなくなった。
大きくなるにつれ、青い毛の間から白い毛が多くなり、
大きくなるころにはすっかり普通のニワトリになっていた。
しかも・・・。 一番後から入ってきたというのに、その、元青いひよこのニワトリは、
一番存在感があるのも不思議だった。
しかし、だれが何のために青く塗っていたのか?
それこそが七不思議だと思う。
で・・・。 中学に入ってすぐの夏休み。
青いひよこの正体が判明した。 隣の学校区の夏祭りに、毎年、青いひよこを出展するおじさんがいるという。
幸せの青い鳥、のつもりなのか・・・。
たぶん、それを買った小学生が、家に帰って母親に怒られでもしたのか、
買えずに困って、小学校の鳥かごに離す人がいただけだろう。
ややこしい、迷惑な話しだった・・・。



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