【体育館のフラミンゴ】
本当に体育館にフラミンゴがいるわけではない。
体育館の正面入り口から入ったところ、ちょうど
体育館の舞台から正面に位置する壁に、
本当に大きな絵が飾っていた。
その絵には、何匹ものピンクのフラミンゴが描かれていた。
作者が誰で、どこを描いたものかも知らない。
今思えば、先生に聞いてみたらよかったな。
何が不思議かって?
その絵のフラミンゴの数が日によって変わる、とか、
フラミンゴと脚の数が合わない、とか、そんなしょうもない理由からだった。
とくに誰かに不幸が訪れるというものでもないその七不思議は、
ぼくも特に怖いとも思わなかった。
なんとなく興味が湧いたとき、ちょうど幼馴染に誘われたので、
仕方がないというふうに一緒に体育館に言ってみた。
その日は、誰かが夜中に体育館に来たら、フラミンゴが
体育館に出てきていたとかで、たくさんの人がその絵を見に来ていた。
どう聞いても、うそなのは小学生のぼくにもわかった。
しかも、普段からとっぴょうしもないことを言うと
評判の女の子だったから、たぶん誰も信じてはいなかったけれど、
そこは七不思議好きの小学生だ。
せっかくなので、ぼくもフラミンゴを数えてみた。
あまりの数に、途中で目がおかしくなって、どこまで数えているかわからなくなった。
ただの数え間違いだろう。あんなピンクばかりで目がチカチカするのだから、
数が合うほうがおかしい。なぜ、その絵が飾られているのか?は確かに七不思議かもしれない。
体育館にあふれるフラミンゴを見てみたいものだ。