【消える石けん】
低学年用の校舎と、高学年用の校舎をつなぐ渡り廊下にあるトイレ前の手洗い場。
そこの石けんが時々消えるという七不思議があった。
なかには3番目の花○さんの仕業だという生徒までいた。
とくに怖くもない七不思議だけれど、小学生にとっては騒ぐためのひとつのアイテムみたいなもの。
いつも騒ぎになるのは、年に1回の校舎のワックスがけの前の清掃時間。
そのときはかならず石けんがなくなるという。
しかも、決まって向かって右から2番目と3番目の間につけられている石けんだとか。
ほんとか?
忘れもしない。
ぼくが小学校4年生のとき。
いつもの幼馴染がワックス前の清掃時間に悪ふざけをした。
みんなを驚かせてやろうと、なんとそのうわさの石けんを清掃時間前に持ち出していたのだ。
というか、ぼくは一緒についていかされたのだけれど。
なんとなく気分がよくなかった。
自分が七不思議に加わってしまっているようで。
そして清掃時間。
こともあろうに、幼馴染はその石けんを使って、
廊下でほうきを使ったホッケーを始めた。
そのころ、石けんがなくなっていたことに気が付いた女子たちが、騒ぎだしていたようだ。
はしゃぎすぎた幼馴染は、ホッケーに夢中になりそんな騒ぎを気にもしていなかった。
そして・・・。
飛び上がって着地したその足元に、ちょうど石けんが滑り込み、
幼馴染は派手に転倒してしまった。
幸い、大きなケガはなかったものの保健室に運ばれた幼馴染。
その後、消えた石けんが掃除中の男子生徒の場所までワープし、
転んでケガをした、とうわさされたのは言うまでもない。